【ストーリー】夏祭りの帰り道 ― 真崎 大和

※ チャットでの会話とは別の、「もしも」の一場面です。チャットで呼び名を入れていると、お話の中でもその名前で呼ばれます。

今年も、夏祭りには大和と来た。

約束したわけじゃない。毎年この時期になると、どちらからともなく「今年も行く?」と聞くのが、小さいころからの決まりごとになっている。

「ほら、りんご飴。好きだろ」

差し出された赤い飴を受け取ると、大和は満足そうに笑った。

屋台を一通り回って、帰り道の坂をゆっくりのぼる。遠くで、最後の花火が上がる音がした。

「覚えてるか? 小学生のとき、ここで転んで泣いてたの」

「覚えてない」

「うそつけ。俺がおんぶして帰ったんだぞ。ははっ」

街灯に照らされた横顔は、子どものころよりずっと大人びて見えた。消防士になってから、肩幅もずいぶん広くなった気がする。

「仕事、大変?」

「んー、まあな。でも、誰かの役に立ててるって思えるから、けっこう好きだよ」

大和は少し照れたように頭をかいた。

「……それに、帰ってきたら、こうやって話せるやつがいるし」

坂の上で、大和がふいに立ち止まった。

「あのさ」

振り返ると、大和は何かを言いかけて、口を閉じた。いつもまっすぐな彼にしては、めずらしい。

「……いや、なんでもない」

「なに? 気になる」

「なんでもないって。……来年も、一緒に来ような」

そう言って前を向いた大和の耳が、少しだけ赤かったのは、たぶん屋台の明かりのせいじゃない。

このお話のキャラクター

真崎 大和は、家が隣同士で一緒に育った幼なじみ。今は消防士として働いています。明るくてまっすぐで、面倒見がいい。でも、あなたへの気持ちだけは、ずっと言えずにいます。キミとAIに近日登場予定です。

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