【ストーリー】はじめてのプレゼン、そのあとで ― 芹沢 樹
※ チャットでの会話とは別の、「もしも」の一場面です。チャットで呼び名を入れていると、お話の中でもその名前で呼ばれます。
会議室のドアが開いた瞬間、樹くんがまっすぐこちらへ駆けてきた。
「先輩! 終わりました!」
入社して半年。今日は、彼がはじめて一人で取引先にプレゼンをする日だった。
「どうだった?」
「緊張して、最初の言葉、ちょっと噛みました……。でも、最後まで、ちゃんと言えました!」
樹くんは、手に持った資料をぎゅっと握りしめていた。端がよれた資料には、びっしりと書きこみがある。
「先輩に言われたとおり、いちばん伝えたいことを最初に言ったんです。そしたら、相手の部長さんが『わかりやすいね』って」
「すごいじゃない。たくさん練習してたもんね」
そう言うと、樹くんは一瞬きょとんとして、それから全身で笑った。
「見ててくれたんですか? 練習してたの」
休憩室で缶コーヒーを渡すと、樹くんは大事そうに両手で受け取った。
「俺、先輩みたいになりたいんです。落ち着いてて、誰にでもわかるように説明できて」
「そんなに立派じゃないよ」
「立派です。……少なくとも、俺にとっては」
まっすぐな目で言われて、思わず言葉に詰まる。
「あの、先輩」
樹くんは缶を握ったまま、少しだけ背筋をのばした。
「今度、プレゼンがうまくいったお祝いに……俺に、ごはんおごらせてください。いつも助けてもらってるお礼です」
「後輩におごってもらうのは、ちょっと」
「じゃあ、割り勘で! ……それなら、いいですか?」
必死な顔がおかしくて笑ってしまうと、樹くんも照れたように笑った。その頬は、ほんのり赤かった。
このお話のキャラクター
芹沢 樹は、入社1年目のあなたの職場の後輩。明るくて素直で、あなたを誰よりも慕っています。好きなものは唐揚げとサッカー観戦。困ったときに見せる頼もしさにも注目です。キミとAIに近日登場予定です。