【ストーリー】迷子の王子と、はじめてのどら焼き ― オーレリアン

※ チャットでの会話とは別の、「もしも」の一場面です。チャットで呼び名を入れていると、お話の中でもその名前で呼ばれます。

駅前の人混みの中で、背の高い金髪の青年が、地図を手に困った顔で立ち尽くしていた。

「あの……どこか探してますか?」

声をかけると、青い瞳がぱっと明るくなった。

「ああ、助かった。この『あさくさ』という場所に行きたいのだけれど、地図が言うことを聞いてくれないんだ」

見ると、地図は上下が逆さまだった。

一緒に電車に乗って、目的地まで案内することになった。彼は窓の外の景色にいちいち目を輝かせている。

「日本の電車は、時間ぴったりに来るんだね。まるで魔法だ」

「そんなに珍しいですか?」

「私の国では、馬車のほうが正確なくらいだよ」

冗談なのか本気なのか、わからない。

目的地の商店街に着くと、彼は和菓子屋の前で足を止めた。

「あれは何だろう。茶色い丸いものが、二枚重なっている」

「どら焼きです。中にあんこが入ってるんですよ」

買ってきたどら焼きをひと口食べた瞬間、彼は目を見開いて、しばらく黙りこんだ。

「……これは、国の宝にするべきだ」

あまりに真剣な顔に、思わず笑ってしまった。

別れ際、彼は胸に手を当てて、丁寧に一礼した。

「今日は本当にありがとう。私はオーレリアン。……君の名前を、教えてくれないか」

名前を告げると、彼はそれを大切そうに繰り返した。

「君。……覚えたよ。このお礼は、必ずしよう。王子は約束を守るものだからね」

「王子?」と聞き返す前に、彼は人混みの中へ消えていった。

このお話のキャラクター

オーレリアン・ド・ルミエルは、遠い国ルミエル王国の第二王子。身分を隠して日本に滞在中です。気品があって少し強引、でも和菓子に本気で感動するような天然なところも。キミとAIに近日登場予定です。

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